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CHAPTER OF RED
TRAUMEREI
――ずっと夢を見ていた。

聖女である人生を忘れ、
ある時は彼を処刑し、ある時は彼と共に火あぶりにかけられた。
ある時は彼と対峙し、ある時は彼と共に戦い
最後にはこの世の呪いとして彼に倒された。
例え人々から『邪神』と呼ばれようとも
誰かを救いたかった。
そうすることで自分も救われると思っていた。

全ては心の奥底に封じた私自身の祈りだったのだ。
....
邪神は眠りにつく。
この白と黒の世界で
二度と目を覚ますことはない。
どんな夢を見ようとも
彼を失った現実は変わらない。
――それでもどうか幸せな詩を。

この暗闇の中
目を瞑り
夢を見続けていたいのだ。
祈りや呪いに縛られることのない
鮮やかで幸せな夢を――
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